まちの豊かさ/地域力
まちの豊かさ/地域力
まちのブランディング、プレゼンス向上に求められるものとは
まちの豊かさとは
スマートシティの取り組みは広義の意味、例えば環境問題に対する取り組みという意味ではサステナビリティという概念で、古くは1980年代頃から議論されてきました。その後、米国におけるスマートグリッドなどのエネルギーマネジメントに関する取り組みがはじまり、欧米を中心にあらゆる分野のスマート化が議論され、世界中に拡がりました。
そして近年では、センサーやAI等の先端技術を導入したまちづくりが議論される一方で、住民参画を前提としたまちづくりや、人を中心としたまちづくりがすすめられており、経済合理性だけでなく、「地域・住民の幸せ(Well-being)」が、まちの豊かさの重要なキーワードになっています。
まちの豊かさの可視化
まちの豊かさを可視化する手段として、いま世界ではほんの一例ですが、次のような様々なグローバル指標が活用されています。
- 国際認証(ISO37120、ISO37106)
- 都市構造評価(LEED ND、BREEAM)
- 都市ランキング(ロンドンエコノミストや森記念財団)
- 持続可能な開発目標(SDGs)
※最近では、上記のほか、World Happiness Reportなどの幸せを測定するものも注目を集めています。
これらの指標を活用しているまちでは、「地域・住民の幸せ(Well-being)」といった観点でも、まちの豊かさを表す方法が、議論され始めています。例えば、欧米の都市(ロンドン、ロサンゼルス、トロント、メルボルン、アムステルダム、ストックホルム、ヘルシンキ、バルセロナなど)は「スマートシティ国際認証」を取得すると共に、「持続可能性」と「地域・住民の幸せ(Well-being)」の両立をめざしたまちづくりを行っています。
めざす都市のビジョンに正解はなく、それぞれの地域で過去から人々が紡ぎあげてきた歴史や文化、その土地に根ざしているコミュニティなどの特色を活かすまちづくりが今求められています。そしてその中で、それぞれのまちの豊かさを可視化するための「客観的なモノサシ」が必要とされています。例えば、ISOに代表される国際認証も、そのモノサシのひとつです。
国際認証を取得した都市の中には、世界基準を達成した都市としての信頼性をプロモーションし、投資を呼び込み、産業を創出し、住民の生活の質を向上することで、まちの繁栄をめざす都市もあります。
日本では、まだ国際認証を取得した都市はありませんが、日本の都市は非常に質の高いサービスを提供しており、高く評価されてもよいはずです。今後は、国際認証などの世界基準も視野に入れたまちづくり(ブランディング・プレゼンス向上)を行い、「わがまちのスマートシティ」を世界へアピールする日本の都市も現れるかもしれません。
本プログラムでは、ISOのみならず、それぞれのまちのビジョンにマッチした「まちのプレゼンスを向上」する取り組みを支援していきます。本プログラムでは、既存の指標に関する情報を発信していくだけでなく、まちの特色を映し出す独自の「まちの姿見」を会員メンバーの皆様と共につくりあげていきたいと考えています。
(2020年6月掲載)